①勇敢に見せる行動を取れ
・勇気は天性ではない。変化する環境と異なる状況におかれた時に自ら意思決定し、選択したその行動にこそ勇気が宿る
・勇気とは恐れを知らないということではない。抱いた恐れを克服していく意志を持つこと(恐れを感じないのは愚かなだけ)
②常に冷静沈着であれ
・問題が生じた時に冷静さを失うと収束から遠のくだけ。むしろ冷静さが問題を収束させる
・何事をよく考えなくてはならないし、即座に反応してはならない
・常に冷静だと「退屈な人間」に見られることもあるが、刺激的なお調子者として注目を集めるより透明で信頼できる人間である方が重要
・考えすぎて時期を逃がした失敗より、考えが足りずに反射的に行動して失敗した方が傷は深い:「急いではならない。まず物事を深く分析しなさい。行動するのはその後だ」
③先陣を切れ
・「リーダーには1人で意思決定し、行動しなければならないときがある。行動した後に組織に対しての説明責任を果たすべき時がある。その結果組織と対峙しなければならない時に問うべき問いはリーダーのとった行動が真に活動のためだったかどうかだ。」
・先陣を切るリーダーシップとは、説明責任を負うことを意味する。時に自らの犯した過ちを認めることでもある
・よって状況が変われば考えも変わるのは当然。状況を判断し、ある状況は避けられないと判断すると視点を変える。ただ急旋回はせずまずはあらゆる方向から結果の行方を熟慮し、行動するのはその後。望む解決策でなくとも避けられないものなら先延ばしにしない。
④背後から指揮を取れ
・チームメンバー1人ひとりの能力を最大限引き出すには皆が「ゲームに参加している」と感じる必要があり、そのために皆が「リーダーの意思決定に自分が影響を与えられる」と当事者意識を持たせることが重要
・リーダーシップの要諦はあるゴールに向かって人を動かすことであり、人の考え方や行動の方向性を変えること
・その際に必ずしも先頭に立つ必要はなく、権限を持たせ、前にいる人が一歩踏み出せるように背中を押すという方法もある。
・マンデラは自身の学習能力は評価していたが、学習スピードは速くないと自覚していたので自分より頭がいい人と手を組み教えを乞いた。学びながら権限移譲しながら味方を付けていく
・マンデラの考え:「他者との利他的な交流を通じて自分の最高の実力を発揮できる」
・アフリカ的リーダーシップ:他人の意見をよく聞き、要点をつかみ、総意をまとめ、人々をあるべき方向に向かわせる
・西洋式リーダーシップ:個人が成功を求め他人を出し抜こうとする個人主義の行き過ぎた形
・集団的リーダーシップとは①個人の知恵より集団の知恵が勝ること②メンバー全員の合意形成のプロセスを経た結論には尊さがあること
⑤役になりきれ
・「現実とは物事が何であるかよりどう見えているかだ」
・自分から率先して行動することが権限を握ることにつながる
・どんな場でもただのお客さんでいることはなく、自分から人をもてなす側に立つ
・どう見られたいのか決め、それに合う行動を取る
⑥原理原則と戦術を区別せよ
マンデラの原理原則
・人間は人種、階級、性別問わず平等な権利を有する
・この原理原則は絶対でそれに従うために手段・戦術とは分けて理解しておく必要がある(マンデラの中では戦術と戦略は同義)
・原理原則は貫くが戦術は柔軟に変える
⑦相手の良い面を見出せ
・人間の邪悪な面だけを見てはいけない。この世には完全な悪人も善人も存在しない
・なぜマンデラは良い面を見つけられるのか
-人の良い面を見出す直感が備わっている
-良い人だと期待をかける程本当により良い人間になっていくものだという信念があるから
⑧己の敵を知れ
・頭ではなく心に向かって訴えかける:相手の言葉(言語、趣味、関心etc)で話すのも手法の一つ
→例)自由への闘争は黒人を解放するだけでなく、白人を恐怖から自由にする意味もあった
・敵でさえも共感できる部分がある
・また敵の心を掴んだ!と得意になってはいけない。自分が勝っている時こそ最大の慈悲を心に持って相手に接する。そうすれば敵はやがて自分の味方になる
⑨敵から目を離すな
・最も厄介なのは味方のふりをした敵(戦略的テイカー)
・敵を見抜くには遠くから見るのではなく自分の近くに置くことが重要
⑩しかるべきときにしかるべく「ノー」と言え
・「おそらく」という言葉も言わない。沈黙を持ってじっくり考えてから答えを出す
・自分で主体的に物事を動かす限界を知り、多くの問題は自然の摂理によって解決されると理解した。時間をかければ問題解決の糸口が見えることもあるのでそれなら時間をかける。しかしただ自分がその問題に向き合いたくないがために意思決定を先延ばしにするのは無意味。今すぐ問題に向き合い、選択し、明らかにする。それが中長期的にみた問題解決の近道。
⑪長期的な視野を持て
・現代社会は素早い行動を美徳とし、スピードを重視するがあまり努力の結果をすぐに求めがち。短期視点になり、自己中心的な考えに終始する傾向がある
・もちろんチャンスを得るためにスピードが重要なこともあるが、十分な時間をかけて行動し、機を熟すのを待つ方がより良い結果を得られることが多い
・特に歴史は一長一短に変えられるものではないのでマンデラは時間をかけた
・2つの原理
-忍耐強く慎重でありながら急進的で大胆に行動することは相反するものではなく両立可能
-物事が進んでいくスピードよりも物事がどこに向かっているのかという方向性が大切
・決断力のある人物とは意思決定のスピードが速い人ではない。十分に時間をかけて幅広い角度から分析し、必要とあらば自分の温めていた考えかを曲げてでも最善の判断をする力を示すことのできる人
・「歴史が人を創るのか。人が歴史を創るのか」→マンデラの答えは前者。リーダーは時代の要請でリーダーになっていった。
⑫愛ですべてを包め
・誰かを愛するとその人の欠点など見えなくなる。
⑬「負けて勝つ」勇気を持て
・役者は舞台幕が下りたら袖幕でうろうろしてはいけない
・全方位的に正面を切って闘うことは時に無駄であり、力を残しておく必要がある
・マンデラは頑固だが、その意思決定が目的にそぐわない結果を引き起こすと分かった時には翻意することを厭わなかった
・譲ることで時に勝ち馬に乗ることができる
⑭全ての角度からものを見よ
・多くのものを内包していると自己矛盾が生じるがそれでよい
・マンデラはたいていの事柄に異なる2つの視点を持ち、どちらかに肩入れすることもなく、双方をつなぎ調整する立場を取ることを基本姿勢としていた
⑮自分だけの畑を耕せ
・どんなものでもよいので外の世界から距離をとって自分に喜びと満足を与える場所が必要という意味